はしか(麻疹)とワクチン 2024.04.21
最近、海外から帰国された方や海外からの旅行者がはしかに感染して、その方から感染が広がるケースがニュースになっています。子供のころにはしかにかかった方も多いと思いますが、長らく時間がたち、抗体が弱いかたが多いようです。
麻しんとは?
麻しんは、麻しんウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症です。麻しんウイルスの感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染であり、ヒトからヒトへ感染が伝わり、その感染力は非常に強いと言われています。免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ100%発症し、一度感染して発症すると一生免疫が持続すると言われています。余談ですが、NHK大河ドラマ「光る君へ」で、当時、流行したはしか(麻しん)の話が出てきます。正暦5年(994年)、京都市中を襲ったのが赤斑瘡(あかもがさ 麻しんのこと)です。当時は麻しんや天然痘(痘瘡、疱瘡)などが流行り、多くの死者が出る時代であったのですね。
麻しんの症状は?
麻しんに感染すると約10日程度の後、発熱、咳、鼻水といった風邪のような症状が現れます。2~3日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発疹が出現します。 肺炎や中耳炎を合併しやすく、患者1000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。死亡する割合も、先進国であっても1000人に1人と言われています。
その他の合併症としては、10万人に1人程度、麻しんウイルスに感染後、子供に亜急性硬化性全脳炎(SSPE)と呼ばれる中枢神経疾患を発症することもあります年
麻しんの抗体価検査とワクチン接種について
麻しんは感染力が強く、空気感染もするので、手洗い、マスクのみで予防はできません。
麻しんの最も有効な予防法はワクチン接種です。また、麻しんの患者さんに接触した72時間以内に麻しんワクチンの接種をすることで、麻しんの発症を予防できる可能性高いことが知られています。
ワクチン接触後5、6日以内であれば、γ-グロブリンの注射で発症を抑えることができる可能性があります。詳しくは、当クリニックの医師にご相談ください。
特に医療・介護関係者、教育関係者や海外渡航を計画している大人の方も感染の危険性はあります。麻しんにかかった経験がないか忘れてしまった場合、一度、当クリニックで麻しんや風しんの抗体の強さを調べてみてはいかがでしょうか?
当クリニックでは、麻しんと同時に風しんの抗体価(抗体の有無や強さ)を検査することができます。検査の結果、十分な抗体がないと診断された場合、麻しん・風しん混合ワクチン(MRワクチン)の接種をお勧めしています。
このMRワクチンを接種することによって、95%程度の人が麻しんや風しんウイルスに対する免疫を獲得することができます。
診察と抗体価検査(自由診察)
麻しん抗体価検査 5500円
風しん抗体価検査 5500円
麻しん風しん抗体価検査 7700円
麻しん・風しん混合ワクチン(MRワクチン)接種 10000円
* 自治体などの補助がでる場合があります。詳しくはお電話でご確認ください。
ご相談、ご予約の電話は 0266-72-9129へ
麻しん・風しん混合ワクチン(MRワクチン)の副作用は?
ワクチン接種後の反応として多く見られる症状として発熱、発疹、鼻汁、咳、注射した部位が赤くなったり、腫れなどがみられます。重大な副反応として、アナフィラキシーなどがまれに(0.1%未満)報告されています。
MRワクチンは、ニワトリの細胞を用いて製造されており、卵そのものを使っていません。ですから卵アレルギーによるアレルギー反応の心配はほとんどないとされています。
しかし、重度のアレルギー(アナフィラキシー反応が過去にお子っと事のある方など)のある方は、ワクチンに含まれるその他の成分によるアレルギー反応が生ずる可能性もあるので、接種時に当クリニックの医師とよく相談してください。
麻しんに感染したかもと思ったらどうする?
発疹、発熱などの麻しんのような症状がある場合は、麻しんの疑いがあることをまず当クリニックにお電話でお伝えください。看護師などから、当クリニック受診の要否や注意点をお伝えします。感染拡大予防のため、直接、クリニックの建屋に入って、受付窓口においでになることは、ご遠慮ください。
麻しんの感染力は非常に強いものです。当クリニックにご来院の際は、周囲の方への感染を防ぐためにもマスクを着用し、公共交通機関等の利用を可能な限り避けてください。
ご相談、ご予約の電話は 0266-72-9129へ
妊娠している方のが麻しん感染
妊娠中に麻しんに感染すると流産や早産を起こす可能性があります。妊娠前であればワクチン接種を受けることを積極的に検討すべきですが、既に妊娠しているのであればワクチン接種を受けることが出来ません。麻しんが流行した時には外出を避け、人込みに近づかないようにするなどの注意が必要です。
また、麻しん流行時に、同居者に麻しんにかかる可能性の高い方(例えば麻しんの感染歴がなく、麻しんワクチンの2回接種が明らかでなく、麻しんウイルスに接する可能性が高い方など)がおられる場合はワクチン接種等の対応について、当クリニックの医師にご相談ください。
海外渡航に際して、麻しんについて注意すべきこと
多くの南北アメリカ、中東、ヨーロッパ諸国とわが国も麻しんの非常に少ない国の一つです。
その一方で依然として多数の患者が報告されているのは、主にアジア及びアフリカ諸国です。中でも、ウクライナ、インド、ブラジル、フィリピン、マダガスカルなどからの報告数が多いです。
過去に麻しんにかかったことがあるがワクチンを受けるべきか?
今まで麻しんにかかったことが確実である(検査で麻しんの感染が確認された場合)場合は、免疫を持っていると考えられることから、予防接種を受ける必要はありません。しかし、麻しんかどうか明らかでない場合は当クリニックの医師にご相談ください。たとえかかったことがある人がワクチン接種をしても特に副反応が強くなることはありません。
もし、麻しん又は風しんの片方にかかったことがあっても、麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)を受けることができます。
ワクチン接種を受けた方が良いのはどのような人か?
定期接種の対象年齢の方は、1歳児、小学校入学前1年間の幼児です。当クリニックでは15歳未満の方の診療はしていませんので、定期接種希望者は自治体や小児科の医院などにお問い合わせください。15歳以上の方で、「麻しんにかかったことがなく、ワクチンを1回も受けたことのない方」は、当クリニックの医師にご相談ください。平成12年4月2日以降に生まれた方は、定期接種として2回の麻しん含有ワクチンを受ける機会がありましたが、それ以前に生まれた方は、定期接種として1回のワクチン接種の機会があった、もしくは定期接種の機会がなかった方となります。
そのため、麻しんにかかったことがなく、2回の予防接種を受ける機会がなかった方で、特に医療・介護関係者や児童福祉施設等の職員、学校などの職員など、麻しんにかかるリスクが高い方や麻しんにかかることで周りへの影響が大きい場合、流行国に渡航するような場合は、2回目の予防接種について、当クリニック医師にご相談ください。
麻しんのワクチンを受けるのに、単独の麻しんワクチンの替わりに、MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)を接種した場合の健康への影響は?
麻しんの予防対策としては、MRワクチンは単独ワクチンと同様の効果が期待できます。また、麻しんワクチンの替わりにMRワクチンを接種しても、健康への影響に問題はありません。むしろ風しん予防にもつながる利点があります。
MRワクチンは、生ワクチンという種類のワクチンですので、妊娠している女性は接種を受けることができません。また、妊娠されていない場合であっても、接種後2カ月程度の避妊が必要です。これは、おなかの中の赤ちゃんへの影響を出来るだけ避けるためです。
また、麻しんの単独ワクチン、風しん単独ワクチンの接種に当たっても、妊娠している方は接種を受けることはできません。接種後2カ月程度、妊娠を避けるなど同様の注意が必要です。
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