花粉症とその治療 2024.02.01.

花粉症の季節到来です。早めの対策が重要です。

信越地方では、2月中旬~5月上旬はスギ、4月~6月上旬はヒノキ、6月~9月中旬はカモガヤなどのイネ科植物、8月~10月はブタクサやヨモギなどの雑草の花粉が飛散しています。また、長野県では4月~6月にかけて口腔アレルギー症候群(いわゆる果物アレルギーと同じ症状、のどがイガイガ、腫れ、かゆい感じ)にかかわるシラカバが飛散します。地域によって飛散する花粉や時期が多少異なります。

 

花粉症の治療方法

花粉症の治療方法は、以下のようなものが挙げられます。

  抗原(原因物質、アレルゲンという)を取り除くこと、日常生活での接触を避けること

  お薬による治療 (アレルギー性鼻炎に用いるさまざまなお薬による対症療法)

  アレルゲン免疫療法(アレルギー物質に対する感受性を下げ、アレルギー症状を出にくくする根本的な治療法)

  手術療法

があります。このうち①は患者さまがご自身が日常生活で行うことです。②~④が医療機関などで行う治療になります。一般的には②のお薬による治療となります。治療のためのお薬は、数多く開発されており、最適なお薬を見つけるためには、患者さまご自身の症状を正確に理解して、医師とよく相談することが大切です。お薬を使った治療は、医師が患者さまひとりひとりの病状をよく観察、検査をして、その結果に基づいて、患者さまの花粉症のタイプと重症度を考えたうえで、お薬を選びます。当クリニックでの治療は②、③が中心となります。

 

診察する前に整理して受診しましょう

花粉症が疑われる患者さまに対して、当クリニックの医師は、以下のことを伺います。

  どんな症状があるか?

  どのくらいつらいのか?

  その頻度は?(毎日?たまに?どんな時?いつごろから?どこにいるとき?)

  何を改善したいとおもっているのか?

  過去に対策として飲んでいた花粉症のお薬の種類、効き目、効果がどうだったか?

  過去のお薬のどこに不満であったか?

  他のアレルギーの病気はあるのか(気管支喘息、アトピー性皮膚炎)、家族にアレルギーの病気の人はいるか?

ご受診の際には、これらのことを患者さま自身が整理して、メモなどにまとめ、医師にきちんとお伝えください。医師は患者さまの症状の重症度によって、複数のお薬を組み合わせたり、他の治療法を選択したりします。

 

 

花粉症と間違えやすい病気にはどんなものがあるか?

花粉症は季節的にも風邪、インフルエンザの流行する時期に重なります。また、最近は新型コロナ感染も類似の症状を呈することがあります。このため、発症の初期ではくしゃみ、鼻水が症状として同じですから、発熱・感染症外来を受診して、花粉症であることがわかる方もいます。当クリニックを花粉症で受診される場合、風邪、インフルエンザ、新型コロナが疑われる場合は、まずはこれらの疾患の検査をすることがあります。

 

 

花粉症の診断方法

花粉症診断は、花粉が飛散している時期の症状の有無と血液中にある花粉に対する抗体の存在で診断します。

 

 

早く治療を開始するメリット

花粉症の症状が起こりはじめたごく初期では、鼻粘膜や目の炎症が弱いかほとんどおこっていないため、この時期に治療を開始すると炎症の進行をくい止め、早く正常化させることができるため、花粉症の重症化を防ぐことができます。

 

 

花粉症がひどくならないために日常生活でいきおつけること

一般的な注意として、睡眠を良くとり、規則正しい生活習慣を保つことは、正常なからだの状態(特に免疫機能)を保つために重要です。さらにマスクやゴーグルなどの花粉防護、外出先から自宅内になるべく花粉を持ち込まない工夫(静電気防止、花粉を寄せ付けにくい服装、自宅に入る前の花粉の払落し)、風邪などをひかないようにすること、お酒の飲みすぎに気をつけること、タバコを控えるか、やめることなどが重要になります。

 

 

一般的に言われている花粉症対策の科学的根拠

(1)お茶の効果

ある種のお茶(甜茶)ポリフェノールは、花粉症などのアレルギーで生じるヒスタミンの作用を和らげる効果があると言われます。しかし、実際の患者さんでの効果は不明で、さらなる研究が必要です。

(2)ヨーグルトの効果

腸内細菌を変化させるとからだの中の環境がアレルギー反応を抑えるようになると考えられています。しかし、ヨーグルトを毎日食べる人でもアレルギーの病気にかかった例は多く、花粉症を完全に治すことは難しく、実際の効果の程度は不明で、さらなる研究が必要でしょう。

(3)鼻の穴に塗るクリームの効果

鼻の穴に塗るクリームにアレルギーに直接聞く成分は入っていません。従って、花粉症自体を治す効果はありません。花粉が粘膜にくっつく前に、クリームが花粉の付着を妨げる効果はあると考えられます。ただし、効果は科学的に十分に証明されているわけではありません。

(4)衣類静電気防止スプレーの効果

通常、ウール以外の衣類にはほとんど花粉がつきません。表面についた花粉をはたくだけで、落とすことは容易です。しかし、ウールのセーターや毛皮等のコートや一般的な衣類でもにスプレーをすると、衣類のすり合わせによる静電気が起きにくくなり、静電気によって集まりやすくなる花粉をつきにくくすることは期待できます。

 

 

花粉症の治療費

3割負担の患者さまの場合は、初診で検査を行うには6000円~8000円程度かかります。次の診療からは、毎回再診料などがあり、お薬(経口薬、点鼻薬、点眼薬など)を数ヶ月使用しますので、1シーズンで600012000円程度になります。

個々の患者さまの重症度により異なりますが、初めての年で12000円~20000円程度、次の年からは(再診扱いで追加検査を行わない場合)700015000円程度の自己負担となります。

 

 

花粉症は完治できるか?

現在、完治の可能な治療法は減感作療法(抗原特異的免疫療法)だけです。しかし、現在の治療法も、完治する確率は決して高くありません。また副作用や治療に長い期間がかかることがデメリットとしてあげられます。現在も新しい減感作療法の研究が進められており、将来的には研究が進み、確率も上昇することが期待されます。

 

花粉症治療の舌下免疫療法とは?

通常の医療で行われていた免疫療法、つまり減感作療法は皮下注射により原因の抗原エキス(アレルギー物質)を体内へ入れます。舌下免疫療法は、患者さまの口の中で舌の下、舌下に抗原エキスを含む錠剤を入れて、花粉症の症状を根本から少なくさせようとする根本的治療法です。当クリニックでもこの治療方法を行うことができます。この治療方法を行う場合、詳しい検査が必要になります。医師にご相談ください。

 

舌下免疫療法にかかる費用・料金の目安

初診の際には、血液検査を行います。 3割負担の方で診察代、検査代、処置代等あわせて5000円程度です。その翌週の再診時から治療開始になります。以降は毎月1回の診察になりますので診察料金とお薬代で毎月3000円程度です。

 

 

ご予約は 0266-72-9129まで